2013年3月29日金曜日

2極化する中国の不動産市場

Week in China に「Trouble on the home front」という中国の不動産に関する記事がありました。

どうも不動産取得に関して、いろいろと法制度が変わったようです。不動産バブル再燃、というサブタイトルもあります。
以下、簡約です。


結婚して2週間後に離婚すると、性急な決断を迫られるかもしれません。しかし、ある中国のカップルにとっては、非常に計算された動きでした。

Wang Ying と Du Bibo の夫妻は、住宅取得のために融資を申請するために銀行に行った時のこと、彼らは新しい法律を教えてもらい、その足で、彼らは離婚申請に来たのでした。

離婚申請に役所に来ていたのは、Wang Ying と Du Bibo だけではありませんでした。政府が不動産バブルを冷やすために用意した法律のために、早く離婚しようとしている人々が、役所を取り囲んでいたのです。

離婚担当者は、新しい法律のために離婚するとは言わないように、Wang にアドバイスしました。
そこで彼らは、性格の不一致、という理由を申し述べたのでした。

ではなぜ離婚?
これは、新しいルールの抜け穴を悪用するエレガントな策略なのです。

Wang Ying と Du Bibo の場合、既に Du が北京にマンションを所有していました。
新しい法律は、初めての買い手と売り手には適用されません。ですから、一度離婚し、Wang は上海で彼らの希望する新しいマンションを購入することができますし、その後で、彼らは再婚すればよいのです。


新基準とは?

国務院は、住宅販売の20%のキャピタルゲイン税を徴収することを決定しました。
しかし、それだけではありませんでした。
不動産価格が急上昇している都市において、その勢いをくじくために、高額な頭金を必須とすることと、2軒目の購入制限が導入されるのです。

温家宝が在任中は、不動産価格が上昇していたため、彼の退任前のたった2日前に、この動きが出てきました。温家宝は、しばしば、住宅価格を手頃なものにすると発言しており、この新基準は、彼の最後のチャンスだったのです。

新しいルールが公表されてた翌日、売り手は、販売のために暴走するかもしれませんでした。
Sina Property によると、販売会社の人間が、天津で書類を手に、一晩中列をなしていました。同様に上海では、何百人もの住宅所有者が、権利証書を手に手に持って、住宅を売り抜けようと当局に押し寄せました。


新しい出発?それとも前以上?

上海証券ニュースは、引き締め策のほとんどが目新しいものではないと報じています。
実際には、20%のキャピタルゲイン税は、2011年には早くも制定されましたが、ほとんど実効力がありませんでした。
最新の発表では、この時期に実施されている中では大きな可能性があるとしても、古い政策の焼き直しでしかありません。

しかし、この通達は、業界筋に驚かれました。この発表は、非常に重要、かつ、期待されると、業界の一人は語っています。「我々は、不動産セクターが高価格であるため、ハイリスクゾーンに立たされています。そして今回の通達は、他のセクターにも波及していくでしょう」。

政府は、いつ、どのように新たな施策が実施されるかの詳細を公表していません。
例えば、国有銀行の地方支店のマネージャーは、高い頭金も、2軒目の購入ローンの金利をあげることも、まだ公式に知らされていません。


誰が価格上昇を心配しているのか?

多くの住宅購入者は等しく、彼らの購入が完了していることを切望しています。
なぜなら、彼らは、自称買い手に新税の一部がコストとして転嫁され、価格が上昇することを懸念しているからです。

買い手は、2軒目マーケットから、新税のかからない1軒目に、自らの注意をシフトしています。
新税導入のベネフィットは、Weiboに書き込まれた「この新ルールは、不動産業者を助けるために造られたんじゃないの?」に代表されているのではないでしょうか。

2007年、深圳近くの工業都市、東莞において、2軒目の取引には、20%の個人所得税を課すこととする、不動産投機を取り締まるための同様のプログラムを開始しました。その結果、税の一部が購入者に転嫁され、不動産価格が上昇したのです。

人民日報がおこなった調査によると、大多数が、新税導入による不動産価格の下落はない、という回答が最も多かったのです。10.2%は、新税によって価格が抑えられない、29.4%は、転売価格が上昇する、14.2%は、住宅価格はもっと上昇する、と回答しています。

Weibo上では、新たな取り締まりは広く批判されました。
人気ブロガーや不動産王のRen Zhiquang は、金利上昇も、頭金の増額も、どちらも有産階級から金を盗むようなものだ、と言っています。
一方、もう一人の不動産王の Pan Shiyi は、税金を払うことへのためらいが供給を制限することになるだろうが、新政策が、2軒目マーケットの価格上昇を促すだろう、と言っています。


対策は一様に適用されるのでしょうか?

済南日報は、「規制は柔軟性の余地を残しているが、短命でありと矛盾をはらむ傾向があります。そしてたいていの場合、彼らは強く動きだし、迅速に立ち消えになります。明らかに、これは、実質的な影響力を不動産市場に与えることは困難であることを示しています」。

具体的には、地方政府が、新たなルールを実装することに消極的になると考えています。
2010年に、中央政府は、複数の都市に対して、今回と同様の固定資産税導入を奨励しましたが、広範な抵抗に直面したのです。唯一、上海と重慶だけが、この通達を実行したにすぎません。

実際には、温家宝の首相の任期中に、不動産コントロールに関して、少なくとも9つの政策が発表されました。しかし、不動産価格は上がり続け、数多くの政策にたいして疑問視されました。

不動産調査会社の Yin Bocheng は、「根本的な矛盾があります。それは、中央政府が規制を望んでいる一方で、地方政府は、彼らに収益をもたらす、より高い住宅価格を望んでいるからです」。


もう一つのバブルが今

現実には、不動産セクターは、分裂の過程にあります。
上海や北京のような第1級の都市では、中間所得層のための住宅不足に苦しんでおり、しかし、多くの第3級、第4級の都市は、ますます供給過剰に苦しんでいるのです。

ショールームはガラガラ、開発業者はすでにコスト削減に入っているため、最新の対策が、余剰供給と都市の問題を悪化させる可能性があります。
The Economic Observer は、遼寧省の第3級の沿岸都市、営口では、42の主要なプロジェクトによって、1400万平方メートルの居住空間を市場にリリースする予定であり、似たような状況にあると報じています。

同紙はまた、第4級の都市は、さらなる危険にさらされていると警告します。
既存の購入制限が、地元政府による優遇政策と安い土地を提供される小さい、内陸部の都市に、多くの開発者は再注目しています。しかし、これらの都市の多くはまた、住民が仕事を求めて、国内の富裕な都市へ移動するという、人口流出を伴っています。
その結果、販売見通しは少なくなり、多くの売れ残り在庫の山となります。

本誌は既に、明らかに供給過剰の最悪の事例である、全く住民がいない"幽霊都市"について報じています。
地方都市それぞれには、国家の一貫性がないため、不動産市場は、上海や広州を事例に論じても意味がありません。

中国不動産の"バブル"の定義となると、同様の混乱があるのです。


デベロッパーは困難に直面するか?

驚くことではありませんが、新基準の発表翌日、不動産株は10%以上下落し、取引停止となりました。上海の不動産価格は9.3%下落し、2008年以来の損失を出しました。

それは過剰反応だったかもしれません。前述したように、新築住宅販売には、新税は含まれていないからです。また、デベロッパーは、厳しい時代の到来を予測し、財務強化を行っていました。

中国の都市人口は、この10年間で、2億人増加すると予測されています。いいかえると、年に流入する移住者のために、毎年1000万戸を供給しなければならない、ということです。このような傾向と同様に、マネーサプライ(前年比15%増)のさらなる拡大は、強気の市場見通しとなっているのです。

中国は、2つの速度の不動産市場を持っています。
大都市では上昇し、中小都市では下落しています。一言で中国の不動産市場は語ることができません。中国は新たな分岐を迎えているのです。


2013年3月27日水曜日

中国人富裕層が海外移民に走る理由

Week in China に「The visa run」という記事がありました。
中国人富裕層が、ついに国を捨て海外移住に走っている、という内容です。
このブログでは、すでに紹介していますが、公開メディアに掲載されるというのは、なかなかありません。
以下、簡約です。


1857年1月、南オーストラリアの浜辺(Robeという町)で、ある騒動があったことが記録されています。それによると、当時、その町の銀行で働いていた男性が、「すべて中国人の男だ。全員、月と見分けがつかない平らな顔と、豚の尻尾のようなおさげを下げている!」と書き残しています。

Robeは、中国人満載の客船を歓迎しませんでした。
当地で起きていたゴールドラッシュにあやかろうとやってきていた中国人労働者の移民を阻止するために、近隣の職員は、35日間におよぶ香港からの渡航費よりも高い、入国税を徴収しました。
そこで中国人は、課税を避けるために、250マイル先のBendigoとBallaratに上陸しました。

昨今の中国人移民は、オーストラリア永住権へ、高速トラックアクセスを約束されているようなものです。レッドカーペット待遇とまではいきませんが、移住者としては別の種類扱いになっています。自らの運命を切り開けるのであれば、オーストラリアに投資することなど、安いものです。

他の国々も歩調を合わせて、中国人移民を誘い出すことが広く行われています。

中国人富裕層は、毒性のスモッグ、毒が流れる河川、汚染された食物にうんざりして、海外に委譲したいと訴えます。そして、彼らが投資する財産目当てに、先進国は移民誘致競争をしています。


どんな投資ビザがあるのか?

多くの政府は、指定された金額を投資すれば、国籍を問わず、それぞれの国に住み、働く権利を認めています。ほとんどの場合、一定期間を過ぎると永住権を獲得できます。

二重国籍は、中国の法律では違法であるため、居住権は、ほとんどの中国人にとっては理想的なオプションです。ビジネスパーソンにとって、自国でビジネス活動をする権利を審判せずに、市民権を保持することが許される永住権が最適です。

ビザプログラムは2つグループに分けることができます。
ひとつは主にヨーロッパで提供されている、不動産にフォーカスしたものです。
ポルトガルでは、不動産に40万ユーロ投資したい人なら誰でも、居住証明書が交付されます。たとえば、アイルインドでは50万ユーロを投資した人すべてに居住権が与えられます。キプロスでは30万ユーロ以上、不動産バブル崩壊で最も苦しんでいるスペインでは、最も安い16万ユーロを検討しています。

これらは、ビザ付きの不動産投げ売りのようなスキームを作り出しています。
香港のビザ・エージェンシー社長のWinner Xingは、今年中にヨーロッパ各国は、更なる値下げをしてくるだろうと予測しています。「2013年を振りかえったとき、海外移住の年、と記憶されるでしょう」。

すでにキプロスの不動産業者は、中国人ビジネスに依存しているとの報告もあります。
英国新聞「ガーディアン」が2月に報じたところによると、1月の不動産売買は対前年比53%、今年はかつてないほどに悪い年になると示唆しています。しかし何百人もの中国人バイヤーは、ほんの数少ない明るい話題となっていて、中国人デベロッパーが、住宅建設のために列をなしているという憶測もあります。

その他の国々では、異なる取組、地元企業に投資することを提案するなど、をしています。
英国は100万ポンド、シンガポールは100万シンガポールドル以上の投資を要求しています。
ニュージーランドでは2つの仕組みがあります。一つは、英語テストと150万ニュージーランドドルの投資。もう一つは、英語テスト無しで1000万ニュージーランドドルの投資です。
米国EB-5プログラムは、少なくとも新規事業で100万ドル投資するか、高失業率地域において既存事業へ50万ドルを投資した者にビザを提供しており、年間1万人を超えています。この投資では、少なくとも10人の労働者を2年間雇用しなければなりません。

オーストラリアでは、昨年11月に、Significant Investor Visa (SIV)が発行され、不動産を買っただけではビザを与えないことになりました。
中国人が在留資格と得たいなら、オーストラリアに拠点を置く民間企業、国債または国内の投資ファンドに投資しなければなりません。

キャンペラの政策では、むしろ、不動産セクターを下支えするよりも、中国との深い取引関係のほうが、ビジネスと雇用を生み出すとしています。これが、オーストラリアにとって、中国の成長ストーリーとつながる、一つの方法だと言う人もいます。

そのプログラムでは、年齢制限なし、英語が話せなくても良く、家族全員が居住権を得られるのです。しかし、ヨーロッパに比べれば、最小でも500万オーストリアドルの投資は、かなり高価に見えます。しかし、選挙権を除けば、永住権を取得でき、それによって健康保険制度や教育を受けることも可能となり、法制度によって守られるのです。



どうして中国がターゲットなの?

技術的には、ビザは全ての国籍に適用されています。
中国人が移住希望者の上位にいることがヒントになります。
この制度に興味を持つ裕福な中国人がかなりの数に上っているからです。
しかも、受入国は、彼らに手を差し伸べるよう努力しています。
たとえばキプロスでは、より多くのビジネスをもたらすために、中国人ごのみのお祭り騒ぎになっています。

オーストラリア人は、中国人の本能に訴えかける、実証済みの手段を選んでいます。
「永住ビザのスキームが888で付番されているのは偶然の一致ですか?」
中国人にとって、888は富を象徴する数字ですから、政府が明確にメッセージを送っているとしか考えられません。

オーストラリアでは、早くから投資ビザ制度を使って中国人が移民してきており、全体の60%を占めています。

カナダも似たようなストーリーをたどっています。
それは中国人が、過去3年間で投資移民の75%を占めています。

依然として、中国人にとって最高の移民先は米国で、2011年には、投資プログラムを利用して3,340のビザが出されています。


なぜ中国人は欲しいの?

関連した調査では、彼らは彼らの子供のためのより良い教育、息をするその家族のためのきれいな空気、そして食べるためのより安全な食品を求めるため、と最も多くが回答しています。

多くの海外移住者が、移住するモチベーションを完全に持ち得ているかというと、それは疑問です。
しばしばそれは、資産を海外に移したいということであって、旅行用バッグを送りたい、ということではないのです。

明らかに、ニュージーランド、オーストラリア、カナダのような場所でのライフスタイルは魅力的です。
しかし、中国は新体制になって、資産を安全に国境の外に出せる保証がなくなっています。

言うまでもないことですが、海外居住を希望する人の多くは富裕層であり、これまで説明してきたような事例が、中国のメディアでも頻繁に紹介されています。

先月発表された、the Centre for China & Globalisationとthe Beijing Institute of Technology School of Lawとが共同で行った、100百元以上の個人資産を持つ富裕層を対象とした調査では、27%がすでに外国の永住権を取得しており、47%が検討中であるという。

中国当局は、資産流出は経済成長を妨げる、としています。しかし、過去3年間に、海外の永住権を取得するために流出した資産は、少なくとも150億ドルに上っています。

中国の民間経済は、中国の国内総生産(GDP)の60%以上にあたり、それが労働者の大半を吸収しています。民間企業の所有者が自分の資本で移住する場合、それは国内労働市場の縮小を意味するのです。

もちろん、中国の法律では、一人当たり年間50,000ドルを限度に、外貨の持ち出しを禁止しています。企業の場合、ビジネス目的、たとえば輸入のための支払や、当局が許可した投資などは、この限りではありません。

穴だらけで、大言壮語の資本規制に証拠を提出するのと同じくらい、中国から資金を取り出すことに疑問を呈しています。

他の灰色領域として、投資家が、彼らの富が合法的に得たことを証明することができなければならない規定もありますが、それをどのように取り締まるのかは不明なのです。

投資ビザプログラムの推進役を探している段階の企業は、オーストラリアに到着した段階では、直接自分に関係があるとは思っていません。しかしいずれは、資本が容易に、しかも十分に、中国の国境を越えられる方法を見つけられます。マカオのカジノが証拠です。


London calling?

不動産会社は、すでに海外移住の波のトップに達しています。
Global Entrepreneurは、英国系デベロッパーのBarrattが昨年、北京にオフィスを開設し、2012年の売上の7%が中国人バイヤー向けであったと報告しています。同誌によると、 Barrattは、中国人にもっと英国の住宅を売却することを計画しているのだそうです。

The Berkeley Groupは、2010年に中国市場をターゲットにし始め、これまでに中国人バイヤーにロンドン市内の700件を販売しています。

China Business Timesは、同様の傾向が米国にも見られると指摘します。
Sotheby’s American real estate の幹部によると、3年前は中国人顧客は12%でしたが、昨年は20%に上昇しています。現在では、顧客の1/3が中国人です。
サザビーズの調査によると、購入者の43%が、移民のために購入していると回答しています。


ビザの申し出にもかかわらず・・・?

本誌では以前、中国系ビジネスマンGao Ping逮捕のニュースを取り上げました。
この事件によって、スペインマスコミに中国人禍が巻き起こりました。彼はすでに保釈されており、彼と一緒に逮捕された20人の中国人は、当局によって法的措置を取られています。

しかしこの身柄拘束によって、中国メディアでは辛辣な話題として取り上げられ、スペインに中国資本を移すことを話しづらくなってしまったのです。

The Guangzhou Dailyは、スペイン政府が、「市民権には現金」政策を紹介しているのは、外国の金を吸い取ることが目的であることを、我々は明らかにしなければならない、と警告しています。


受入国は中国人の大挙を歓迎しているのか?

ロイターは、スペインには百万単位の空き物件があると推定しています。理論的には中国人がそれらに飛びつけは、物件価格が高騰する可能性もあるのです。

ビザプログラムにおいて重要なことは、中国からの資本流入であり、人の流入ではありません。
彼らは、移民数を少なくするために、定数を設けたりしているのです。
たとえば、オーストラリア当局は、今年、大幅な投資ビザプログラムのためだけに700件を確保しています。

たとえ投資家ビザが許可された場合であっても、中国人はしばしば永住しないことを選択します。つまり、中国人にとって、永住権は、何か事が起こってぐらぐらしているときの、ボルトの役目をしているのです。それまでは、ビザ取得者は、どこにでも住めるくらいの富をためるために、中国でビジネス活動を行い、中国に住む傾向があります。

受入国もそれを承知していて、新しい住民の最低滞在期間を設けているのです。
ポルトガルでは初年度は7日間、2年目以降は14日間の滞在で十分です。キプロスでは、初年度はわずか1日だけ、2年目以降もたった1週間で良いのです。

オーストラリアの投資ビザの取得者は、永住権が付く前の4年間は、各年40日間と、少し長く滞在する必要があります。しかし、それでも、かつての最小期間よりも大幅に短いのです。

China Business Timesは、100万ドル以上の純資産を所有する者のなかで、270万ドル周辺の者が、次年度以降、海外移住するだろうと予測しています。

逆説的に言えば、中国の富豪は、どこにも行くわけではないことを、断固として明確にしています。WahahaのZong Qinghouは、「私は外国語に慣れていないですし、外国の食べ物に慣れていないので、私は他のどの国にも移住しません。私は中国でビジネスしているし、良い生活を送っているのです」。


2013年3月13日水曜日

中国アパレル業界を暴く

香港貿易発展局が発信する記事に「Uncovering China Wear」という、少し挑発的なものがありました。面白そうなので、以下に紹介します。



グローバルな衣料市場の見通しは不揃いで、引き上げ不能のように見えます。キープレーヤーは中国市場であり、ヨーロッパやアメリカ、日本は巻き返しに必死です。

弱い労働市場と政府の租税政策は、この伝統的に強力なセクターにおいて、消費者に大きな制約を与えています。しかし新興市場は助け舟に乗っています。高い生活水準の層が、ショップに一層の品質とスタイルを求めるようになっているためです。

中国は、この業界ではメイン市場と位置付けられています。
先見の明のある香港の衣料メーカーは、何年も前から中国市場に入り、既に足場を固め、評判もとっています。多くの香港ブランドが広く認知され、本土の消費者に受け入れられ、需要増加を構築できています。

香港貿易発展局は、2001年、2002年および2008年本土衣服消費に関する調査を実施しました。
さらに昨年、中国の13都市において、消費者パターンを理解し、香港ブランドの優位性についても調査しています。今年の第一四半期に調査対象とした13都市は南京、上海、杭州、ハルビン、瀋陽、北京、天津、大連、武漢、成都、重慶、広州、西安です。
調査対象都市に、2年以上居住している3250人の消費者に対してインタビューを行い、過去12か月間に購入した衣料について調査しました。

調査結果によると、服を購入する主な理由は、実用的な必要性や季節変化のためだったが、もっと微妙な動機もあありました。多くの消費者が、割引があって購入したり、またはファッショントレンドに追いつくため買い物をしています。

服を買うための選択基準は、まず第一に品質、続いて合理的な価格とトレンディなスタイルとなっています。
一部の都市では、消費者は、特に衣類ブランドのイメージが適切かどうか、それとも上品か、ということを特に考えていました。

全体に、中国の消費者は、よそのどこかで影響力のあるファッションを重視せず、国内のファッショントレンドに特に影響を受けています。調査対象都市の中では、上海、瀋陽、西安は他の都市より、外部のファッショントレンドに影響を受けやすい傾向が見られます。

そして過去12ヶ月間の衣類に対する年間平均支出は、一人当たり2,635元でした。
各都市での支出は、一人当たりの所得に対して概ね比例しています。
今後12ヵ月間の衣類購入の予算は一人当たり3,616元でした。

実際、広州市を除くすべての都市では、消費者が衣服購入のための支出を増加すると回答しています。中でも、天津、重慶、杭州、西安では、60%以上支出を増加させると回答しています。

衣服の購買習慣として、中国の消費者のほぼ70パーセントは、少なくとも月に一度は店舗を訪問する傾向が見られます。
ショッピング時間は、主に週末と祝日です。

百貨店は、最も人気のあるショッピング場所ですが、その主な理由は、多種多様なブランドがあり、快適にショッピングできる環境が整っており、いろいろと薦めてくれるためです。

消費者は、衣服の販売チャネルや衣料品店の顧客サービスにほぼ満足しており、5段階評価ではほぼ全員が4をつけています。
割引を含むプロモーション、ディスプレイが、テレビやラジオのコマーシャルとともに、最も効果的なプロモーションチャネルです。

しかし、上海、北京、武漢、成都、広州では、購入に誘導するディスプレイや広告よりも、展示会が効果的であると回答しています。

全体的に、中国の消費者は、香港ブランドは、ファッショナブルで個性的、材料や品質も優れていると考えています。そのうち約20%は、将来的には、もっと香港ブランドの服を購入したいと回答しています。

中国の消費者は、同じような品質であれば、中国ブランドより香港ブランドを選択すると回答しています。調査対象都市の中で、その傾向が最も高かったのは杭州で、北京が最も低い結果となりました。

ほとんどの調査回答者は、新ブランドの受け入れに柔軟で、特に香港からの新ブランドを受け入れています。
したがって、香港ブランドは、この利点を活用し、自らのポジショニングとターゲット顧客を明確に定義することができるでしょう。
そうすることによって、市場の受容性を高め、品質に対する評判を確立するとともに、ブランディングすることができます。

香港ブランドは、理想的には、ミッドレンジ市場をターゲットとし、香港スタイルによる新しい消費者文化を育成すべきでしょう。それは、ブランド名、デザイン、マネジメントを、中国の消費者のトレンドや好みに合わせていくということになります。

香港ブランドは、百貨店やチェーンストアのPOS情報から、情報分析が可能です。

プロモーション戦略に関しては、香港企業は割引キャンペーンに参加することによって、またはショッピングモールでプロモーションスタンドを設置することで、顧客を引き付けることができます。
これは、人気のあるテレビやラジオのコマーシャルと相まって、ブランドの浸透を高めるでしょう。

消費者は品質とサービスへの増加を重視したように、香港企業は、競争力のある価格と品質を維持することに加えて、販売力を強化するためにも、販売及びアフターサービスを強化する必要があります。

最新の調査では、無料の寸法直しサービスを提供すると、顧客満足度を上げることができることがわかっています。

消費者の習慣は、都市から都市へ、また異なる消費者グループからグループへと変わるので、香港企業は、正しいニーズをに即した正しい製品を提供できる、マーケティング戦略を策定する必要があります。